【元園長が解説】主体性保育はおかしい? 実践の4つの壁と“わがまま”への対処法
はじめに:「主体性保育はおかしい…?」悩める保育士の皆さんへ
このブログでは、保育士歴10年、うち4年間を012歳児園の園長として子どもたち・保育士たちと向き合ってきた私の経験から、あなたが抱える保育への「モヤモヤ」を「スッキリ」に変えるお手伝いをしています。
主体性保育の理想と現実の間で、こんな風に一人で悩んでいませんか?

主体性保育の実践って本当にこれでいいの…?
うちのクラスのあの子の行動、これって主体性?それとも、ただのわがまま…?
主体性保育の考え方、なんだかおかしいんじゃないか…?

その悩みはあなたが真剣に保育に向き合っている証拠です。
私の園長経験から、主体性保育の疑問を解消し、自信を持って実践するためのヒントをお伝えします。
この記事を読み終える頃には、「主体性」と「わがまま」の違いが明確になり、日々の保育で直面する壁を乗り越える具体的なヒントが得られ、保護者の方にも自信を持って保育を語れるようになっているでしょう。
そして何より、あなた自身の保育観が深まり、子どもたちの「やってみたい!」を心から応援できる喜びを再発見できるはずです。

なぜ保育者は「主体性保育がおかしい」と感じてしまうのか?その原因を探る

主体性保育の理想と現実の間で「おかしい」と感じてしまうのには、いくつかの共通した原因があります。
- 原因1:一斉保育の経験とのギャップ
多くは一斉活動の経験から、「何かを提供しなければ」という焦りや、「見守るだけでは不安」という感覚に陥りがちです。目に見える成果が少ないことも戸惑いの一因です。 - 原因2:「放任」と「主体性の尊重」の境界線が曖昧
どこまで子どもの自由に任せ、どこから介入すべきかの判断は難しく、「わがままを助長しているのでは?」という恐れから「放任では?」と感じてしまいます。 - 原因3:成果が見えにくく、達成感を得にくい
子どもの内面的な成長はすぐには見えにくいため、日々の保育の成果を実感しづらく、「これでいいのか」と自信を失いやすいのです。 - 原因4:保護者からの理解や共感を得る難しさ
主体性保育の意義を保護者に分かりやすく伝え、共感を得ることは容易ではありません。「放置されているのでは?」という誤解を受け、揺らいでしまうこともあります。
これらの原因を理解することが、解決への第一歩です。
元園長が断言!「主体性保育」は“おかしくない”!その本質と意義の再確認

日々葛藤する皆さんへ。主体性保育は“おかしくない”どころか、これからの子どもたちに不可欠な保育です。
改めて考える「主体性保育」の定義と目的
主体性保育とは、子どもが自らの興味や意欲に基づき「自分で考え、選び、行動する」体験を通して、生きる力の基礎を育む保育です。
保育者の役割は「教え込む」のではなく、子どもの力を「引き出し、支える」こと。指示待ちではない、自律的な人間を育てるのが目的です。
子どもの発達における主体性の重要性(乳幼児期だからこそ)
乳幼児期に「自分でできた!」という経験を重ねることは、以下の力を豊かに育みます。
- 自己肯定感: 自分を価値ある存在と認識する。
- 探求心・好奇心: 自ら学ぼうとする意欲。
- 問題解決能力: 困難を乗り越えようと考える力。
- コミュニケーション能力: 思いを伝え、相手を理解する力。
- 創造性: 自由な発想で新しいものを生み出す力。
これら「非認知能力」は、変化の激しい未来を生き抜く上で知識以上に重要です。主体性を育むことは、子どもの未来を豊かにすることに直結します。
「主体性」と「わがまま」保育現場での3つの見極めポイントと具体的な対応策

「これは主体性?それともわがまま?」この見極めは保育士の永遠のテーマかもしれません。
お片付けを嫌がる、おもちゃを独り占めする、活動に参加しない…こうした場面で対応に迷うのは当然です。
ここでは、見極めの3つのポイントと対応例を紹介します。
元園長が伝授!3つの見極めポイント
- 他者への配慮はあるか?: 周りの子の気持ちや状況を少しでも考えようとしているか。
- 建設的な目的はあるか?: 何かを達成したい、試したいという前向きな意図か、単なる欲求不満か。
- 学びや成長に繋がる可能性はあるか?: その行動を通して、子ども自身が何かを発見したり考えを深めたりできそうか。
これらを総合的に見ますが、白黒つけられないことも多いです。
大切なのは「この子はどういう気持ちなんだろう?」と常に子どもの内面に目を向ける姿勢です。
わがままが見られたときのGoodな対応例とNG対応
Goodな対応例
行動を制止するだけでなく、背景にある気持ちに寄り添い、「どうすればよかったのか」を一緒に考えるプロセスを支援することが主体性を育む関わりです。
NG対応
これらは子どもの気持ちを無視し、反発を招いたり、わがままを助長したりする可能性があります。
主体性保育の実践で保育者がぶつかる4つの壁と乗り越えるヒント

主体性保育を追い求める中で、保育者の皆さんは日々様々な「壁」に直面するでしょう。
これらの壁は、あなただけが感じているものではありません。
今回は、元園長としての経験から、具体的な壁とそれを乗り越えるための実践的なヒントをいくつかご紹介します。
壁1:「見守る」ことの難しさ~何もしないことへの罪悪感~
子どもの成長を願うからこそ、つい手を差し伸べたくなりますよね。その気持ちよくわかります。
しかし、主体性保育における「見守る」とは、決して「何もしない」放任とは異なります。子どもの力を信じ、自ら伸びようとする姿を温かく、そして注意深く見守る積極的な関わりです。
壁を乗り越えるヒント
- 子どもの興味や行動、表情、友達とのやり取りを五感で捉え、次の援助に繋げましょう。
- 気づきや成長を記録し、振り返ることで「見守る」ことの成果を実感しましょう。
- 子どもが自分で気づき、解決するまで「待つ」時間こそが、思考力を育みます。
壁2:環境構成の悩み~どんな環境が「主体的」を促すのか~
子どもたちの「やってみたい!」という好奇心の芽をどうすれば引き出し、主体的な活動へと繋げられる環境を用意できるのか。
これは多くの保育者が頭を悩ませるポイントではないでしょうか。
魅力的な玩具をただ並べるだけでは、子どもたちの真の探求心は満たされません。
壁を乗り越えるヒント
- 子どものブームや関心を観察し、関連する遊びや素材を用意しましょう。
- 子どもが自分で選べる多様なコーナーや素材を用意し、主体性を促しましょう。
- 子どもの姿に合わせて環境を常に問い直し、改善していくことが大切です。
壁3:日誌・指導案作成の困難さ~個に寄り添う計画とは~
一人ひとりの発達や興味関心に寄り添い、その子ならではの育ちを捉えた日誌や指導案を作成することは、主体性保育を実践する上で非常に重要ですが、同時に大きな課題でもあります。
集団としての活動計画と、個人の対応のバランスに悩むことも少なくないでしょう。
壁を乗り越えるヒント
- その日の保育で子どもにどんな経験をしてほしいか、「ねらい」を明確に持ちましょう。
- 子どもの具体的な言葉や行動といった「エピソード」を記録し、計画に活かしましょう。
- 「子どもがこう遊ぶかも。その時こう援助しよう」と具体的な援助を想定して計画しましょう。
壁4:保護者への伝え方~理解と協力を得るために~
主体性保育の素晴らしさを保護者に伝え、共感を得て協力を引き出すことは、園と家庭が一体となって子どもを育む上で不可欠です。
しかし、専門的な内容をわかりやすい言葉で伝え、日々の保育の意図を理解してもらうのは、想像以上に難しいと感じる場面もあるのではないでしょうか。
壁を乗り越えるヒント
- 連絡帳や送迎時に、子どもの具体的なエピソードを丁寧に伝えましょう。
- 園だより等で、主体性保育の考え方や取り組みをわかりやすい言葉で発信しましょう。
- 懇談会などでは写真や動画も活用し、生き生きとした子どもの姿を見せましょう。
ここまで、主体性保育を実践する上でぶつかりやすい壁と、その乗り越え方についてお伝えしてきました。
大切なのは、これらの壁に一人で立ち向かおうとせず、園の仲間である同僚や先輩保育者と悩みを共有し、知恵を出し合いながら一緒に乗り越えていくことです。

まとめ:主体性保育は保育者の専門性が輝く、やりがいのある保育

「主体性保育はおかしい?」という疑問は、真剣に向き合っている証です。
主体性保育は、子どもたちの未来を豊かにする価値ある保育であり、保育者としての専門性や力量が輝く場面でもあります。
子ども一人ひとりの内なる力を見出し、引き出し、支え、共に成長していく。これほどやりがいのある仕事はありません。
自信を持って、子どもたちの「やってみたい!」を力いっぱい応援してください。
元園長として、日々奮闘する保育士の皆さんを心から応援しています!