【元園長が教える】子どもの主体性を育むGoodな声かけとNG声かけ
はじめに:その声かけ、子どもの「主体性」を奪っていませんか?

子どもの主体性を伸ばす声かけって本当に難しい…
どんな言葉が響いて、何がNGなのか具体的に知りたいな!

そのお悩み、元園長が解決します!
この記事を読めば、明日から使えるGoodな声かけと絶対避けたいNG声かけが分かり、保育に自信が持てますよ!
こんにちは! 私は保育士として10年間、そのうち4年間は012歳専門保育園の園長として、日々子どもたちの成長に寄り添い、多くの保育士さんの悩みにも向き合ってきました。
この記事では、そんな私の経験から、
- 子どもが『やりたい!』と目を輝かせる、主体性を育む具体的なOK声かけ
- つい使ってしまいがちだけど、実は子どものやる気を削いでしまうNG声かけ
- 明日からの保育ですぐに実践できる、シーン別・年齢別の言葉かけのヒント
などを、具体的な事例を交えながら分かりやすくお伝えします。
この記事を読み終える頃には、『なるほど、こうやって声をかければいいんだ!』と、子どもたちへの声かけに対する不安が軽くなり、自信を持って関われるようになるはずです。
そして何より、子どもたちの主体的な姿を引き出す喜びを感じられるようになるでしょう。
参考記事:【主体性保育とは?】元園長が解説|定義・メリット・環境設定の基本

なぜ「Goodな声かけ」が子どもの主体性を伸ばすのか?

Goodな声かけが子どもの主体性を引き出すのは、声かけが子どもの内面に深く作用するからです。
- 自己肯定感を育む:「自分はできる」 子どものありのままを認めると、子どもは自己肯定感を育み、挑戦する意欲が湧きます。
- 思考力を刺激する:「どうしたらいいかな?」 問いかける声かけは、子ども自身に考える機会を与え、問題解決能力や創造性を養います。
- 行動力を後押しする:「やってみよう!」 共感や励ましは、子どもが一歩踏み出す勇気を与え、失敗を恐れず行動できるようになります。
「Goodな声かけ」とは、子どもの心を尊重し、その子自身の力を信じ、引き出すコミュニケーション術です。
主体性を引き出す声かけの3つの基本原則
- 共感する: 子どもの感情を受け止め、「そうだね」と言葉で返しましょう。
- 問いかける: すぐに答えを教えず、「どう思う?」と問いかけ、考えるプロセスを促します。
- 選ばせる: 「どっちがいい?」など、小さなことでも子ども自身に選択させ自己決定力を高めます。
これらの原則を踏まえ、具体的なテクニックを見ていきましょう。
【実践編】元園長が伝授!子どもの主体性を引き出す「Goodな声かけ」テクニック集

ここからは具体的な場面や年齢に応じた声かけをご紹介します。
毎日の保育シーン別!Goodな声かけ・NG声かけの具体例
● 登園時:一日の始まりを意欲的に!
- NG声かけの例: 「早く靴を脱いで!」
- Goodな声かけ例:「今日も元気に来てくれて嬉しいな。今日はどんな楽しいことして遊ぼうか?」
ポイント: 一日の始まりは、子どもが「今日も楽しいことがありそう!」と期待感を持てることが大切です。
● 遊びの時間:子どもの「やりたい!」を最大限に!
- NG声かけの例:「それはそうやって遊ぶんじゃないよ」
- Goodな声かけ例:「何を作っているの?面白そうだね!」「どうしたらもっと楽しくなるかな?」
ポイント: 子どもの発想を尊重し、遊びが深まるような問いかけを。
● 食事の時間:食べる喜びを感じ、意欲的に!
- NG声かけの例:「全部食べなさい!」
- Goodな声かけ例:「このお野菜、美味しいね。どんな音?」「自分でスプーン使えたね!」
ポイント: 食事は楽しく。食材の面白さや自分で食べる喜びを伝えましょう。
● 片付けの時間:「やらされる」から「自分から」へ!
- NG声かけの例:「早く片付けなさい!」
- Goodな声かけ例:「おもちゃさんのおうちはどこかな?一緒に帰してあげよう」「手伝ってくれてありがとう!」
ポイント: 片付けを遊びの延長として捉え、協力する楽しさを伝えましょう。
● 着替え・排泄:生活習慣の自立を促す!
- NG声かけの例:「いつまでやってるの!」
- Goodな声かけ例:「ボタン、自分でやってみる?」「ズボン、上手に履けそうだね。手伝おうか?」
ポイント: 「自分でやりたい」気持ちを尊重し、小さな成功体験を重ねられるように。
これはNG!子どもの主体性を奪う「NGな声かけ」まとめと改善策

良かれと思ってかけている言葉が、実は子どもの主体性を奪っている可能性も…。
ここでは、避けたいNGな声かけと、その改善策を見ていきましょう。
NGな声かけ | なぜNGか? | 改善策 |
指示・命令「~しなさい」「ダメ!」 | 子どもが自分で考える機会を奪い、受け身にしてしまう。 | 「~してみようか?」「どうしたらいいと思う?」と提案や問いかけの形にする。 |
否定的な言葉「どうせできないでしょ」「また失敗したの?」 | 子どもの挑戦する意欲や自己肯定感を著しく低下させる。 | 「大丈夫だよ、一緒にやってみよう」「失敗してもいいんだよ、そこから学べるからね」と励ます。 |
過度な先回り・手出し「私がやってあげる」「こうすればいいのよ」 | 子どもが自分で試行錯誤する機会や達成感を奪う。 | 子どものペースを見守り、助けを求められるまでは手を出さない。「自分でやってみる?」と促す。 |
他人との比較「〇〇ちゃんはできているのに、あなたは…」 | 劣等感や競争心ばかりを煽り、その子自身の成長を見失わせる。 | その子の過去と現在を比較し、「前はできなかったけど、今はできるようになったね!」と成長を認める。 |
結果だけを評価する言葉「一番だったね!」「全部できたから偉い」 | 結果至上主義になり、過程や努力の大切さを見過ごしてしまう。 | 「一生懸命練習したから、速く走れたんだね!」「最後まで諦めずに取り組んだのが素晴らしいね」と過程を褒める。 |
曖昧な褒め言葉「すごいね」「上手だね」だけ | 何がどう良かったのか伝わらず、子どもの具体的な行動に繋がりにくい。 | 「ブロックをこんなに高く積めたんだね、すごい集中力だね!」「大きな声で歌えていて、聴いていて気持ちよかったよ」と具体的に褒める。 |
これらのNGな声かけを意識して減らし、改善策を実践するだけでも、子どもたちの反応はきっと変わってくるはずです。
主体性を伸ばす声かけの効果を高めるために保育士が心がけたいこと

主体性を伸ばす声かけは、言葉そのものだけでなく、それを使う保育士のあり方や心構えも非常に重要です。
ここでは、声かけの効果をさらに高めるために、私たち保育士が日頃から意識したいポイントをお伝えします。
- 子どもの「ありのまま」を受け止める受容的な態度
どんな子どもにも、良いところもあれば、発達途中の未熟な部分もあります。それら全てをひっくるめて「その子らしさ」として受け止める姿勢が、子どもとの信頼関係の基盤となります。 - 共感的な傾聴の重要性
子どもの言葉だけでなく、表情、声のトーン、仕草など、非言語的なメッセージにも注意を払いましょう。「うんうん、それで?」「そう思ったんだね」と、子どもの話にじっくり耳を傾け、気持ちに寄り添うことが大切です。 - 「待つ」ことの大切さ
子どもが自分で考えたり、行動したりするには時間が必要です。つい先回りして口や手を出したくなる気持ちを抑え、子どもが自分の力で何かを成し遂げるのを見守る「待つ姿勢」も、主体性を育む上では欠かせません。 - 保育士自身の心の安定
保育士がイライラしていたり、不安を抱えていたりすると、それは必ず子どもたちに伝わります。自分自身の心の状態を整え、穏やかな気持ちで子どもたちと接することが、効果的な声かけの大前提です。時には意識して休息を取ったり、同僚と悩みを共有したりすることも大切です。 - チームでの共有と実践
一人の保育士だけが頑張っても、園全体の保育の質はなかなか向上しません。主体性を育む声かけの重要性や具体的な方法について、園の職員全体で研修を行ったり、日々の保育の中で気づいたことや成功事例を共有したりする文化を作ることが理想です。これにより、園全体で一貫性のある関わりができるようになります。
これらの心構えは、一朝一夕に身につくものではありません。
しかし、日々意識し続けることで、あなたの保育は確実に深まり、「声かけ」もより自然に、効果的に使えるようになるはずです。
まとめ:魔法の声かけで、子どもたちの未来を輝かせよう

今回は、具体的な声かけの言葉から、その背景にある考え方、そして保育士としての心構えまでお伝えしてきました。
主体性を育む声かけは、決して難しいものではありません。
大切なのは、子ども一人ひとりの個性と可能性を信じ、その小さな「やってみたい」「こうしたい」という心の声に耳を澄ませ、そっと後押ししてあげることです。
もちろん、すぐに全てがうまくいくわけではないかもしれません。
時にはうまくいかずに悩んだり、自分の声かけに自信をなくしたりすることもあるでしょう。
しかし、諦めずに子どもたちと向き合い、試行錯誤を続ける中で、あなた自身の「魔法の声かけ」がきっと見つかるはずです。
この記事でご紹介した声かけテクニックや考え方が、あなたが子どもたちの主体性を育み、その輝かしい未来をサポートするための一助となれば、元園長としてこれほど嬉しいことはありません。
明日からの保育が、あなたにとっても、そして子どもたちにとっても、さらに笑顔あふれるものになることを心から願っています。
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